【和音づけの実際】
旋律に和音をつける際に最初にすることは、その旋律がどのような調(Key)でつくられているかを見極めることです。
そして次に、その小節やフレーズの旋律が、その調の主要三和音の中のどの音を多く含んでいるかを探り当て、どの和音が合うかを見定めることです。
たとえば、次のような旋律の場合、調号に何も書かれていませんし、最後の音が「ド」で終わっていることから、ハ調の長音階で書かれた旋律だ、ということはすぐにわかるでしょう。
○1小節目は「ソミソ」と「ミ」と「ソ」の2音だけで歌われていますので、どうやらTの和音(ドミソ)の和音が合いそうです。
○2小節目と3小節目は、「ファ」と「レ」の2音で旋律が形作られています。
  主要三和音の中で「ファ」と「レ」を含んでいるのは、X7の和音(ソシレファ)です。それをあてはめてみましょう。
○4小節目は「ミ」「ド」ですから、Tの和音「ドミソ」が合いそうです。
以下同じように見ていくと、次の楽譜のような和音づけができそうです。
和音を探り当てる作業は、調が変わっても、そして非和声音が含まれていても同様の観点で行うことができます。
次の旋律は、ニ長調の曲です。どのような和音がふさわしいか見ていきましょう。(下の楽譜中、×印は非和声音です)
この旋律をニ長調の音階にそって読むと、上の楽譜のような階名で読むことができます。それぞれの小節に合う和音を先ほどの例と同じ観点で探ってみましょう。
○1小節目は「ミ」と「ソ」だけですので、Tの和音(ドミソ)が合うと見当をつけることができるでしょう。
○2小節目は、「ファ」と「レ」です。先ほどの例と同様にX7(ソシレファ)が合うでしょう。
○3小節目は、「ファ」と「ラ」ですから、W(ファラド)でもよさそうですが、X→Wという動きはあまり好ましくありません。
 ここは、ラの音を非和声音と見なして、この小節もX7(ソシレファ)をあてはめてみましょう。
 というのも次の4小節目が、「ソ」と「ミ」の2つの音で成っていますので、Tの和音(ドミソ)と見当をつけることができますので、
 この3小節目をX7とすると、X→Tという最も自然な和声の動きをつくりだすことができるからです。
このようにして、和音を探る際には、その小節だけでなく、前後の小節やフレーズに適した和音との関係で探っていくことが大切
です。そうすることで音楽に自然な流れを持たせることができるからです。
以下、同様に和音をつけると下の楽譜のようになるでしょう。

◆ 借用和音の活用 ◆
和音づけをしようとする旋律の調の主要三和音だけでなく、近親調の和音をうまく活用するといっそう豊かな響きをもたらすことができます。例えば次のような旋律で実験してみましょう。
主要三和音だけで処理しようとすると、上のような和音づけになるでしょう。この和音で演奏すると次のようです。→演奏を聴く

5小節目から7小節目にかけて、和音がT→W→X7とつながっていますが、6小節目のWにスムーズにつなげるために、5小節目の3拍目をT7(ドミソシ♭)とするとよさそうです。なぜなら、Wはヘ長調の主和音でT7は、ヘ長調の属七だからです。
また6小節目のW(ファラド)はA(レファラ)に変えても良さそうです。さらに、この6小節目の1拍目の「ミ」の音に、Y(平行調の同主調の主和音)を奏すると、うまく2拍目に配置したAの和音につなげることができそうです。
なぜなら、6小節目をニ短調と見なすと、A(レファラ)はニ短調の主和音であり、Yはニ短調の属和音ですから、スムーズな動きが出るからです。その部分を聴いてみましょう。→演奏を聴く
またこのように進行することで、ベースの流れが「ド→♭シ→ラ」と順次進行で下降する動きが生まれます。それはまた、旋律のミ→ソ→ドという上に向かう動きと逆の動きであるために、いっそう聴く人にここちよさを感じさせるものにもなります。それはともかく、このように一時的に近親調に見立てて「属和音→主和音」という動きを持たせることは、よく行われることで、無理のない自然な動きを生む上で効果的な和声進行なので、覚えておくとさまざまな場面で活用できます。
◆ ちょっと変わった味付けを ◆
さらに、4小節目の1拍目の和音は、「T」としていますが、次のようにすることでひと味違った響きを持たせることができます。
通常の和声進行を二声体で表すと、下の楽譜のようになるでしょう。
演奏を聴く→
4小節目の1拍目をこう変えてみたらどうでしょう。
演奏を聴く→
1拍目で使った和音は、減七の和音と言います。第三音(ミ)と第五音(ソ)がそれぞれ半音下がっています。「♭ミ」は、上の楽譜の「♯レ」と異名同音で、「♭ソ」は「♯ファ」と異名同音ですが、「♯レ」は「ミ」に向かい、「♯ファ」は「ソ」に向かう性質が強いことから、Tの和音(ドミソ)で解決し安定する動きをつくり出せます。つまり、こうすることで、一旦1拍目で不安定な響きをつくり出し、2拍目のTの和音で落ち着く動きを表現できるというわけです。
和音を演奏
1拍目から2拍目への動きを和音だけで表すと、下の楽譜のようになります。右のプレーヤーの再生ボタンをクリックすると、和音の進行を聴くことができます。
         →和声進行を演奏
Tの和音だけで演奏するよりも、ちょっと変わった雰囲気、ちょっとしゃれた雰囲気が出ますね。
それでは、借用和音や減七の和音などを使って進行を工夫した演奏を通して聴いてみましょう。

次のページでは、いくつかの課題について考えてみましょう。
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