【旋律と和声】
 ここまでで、調性について、そして和音の働きなどについておおよそ理解できたことと思います。 
 和音について理解ができても、実際に作曲や編曲をするにあたっては、旋律との関係をつかんでいないとその作業を進めるのは難しいでしょう。
 作曲や編曲の作業の多くは、旋律と和音のかかわりをうまく調え(ととのえ)、音楽に響きを与えたり、そのことで全体のサウンドを創り出したりして、音楽を意味のある表現としていく作業だと言えます。旋律にどのような和音をつけるかによって、生きた表現としての音楽になるかどうかが分かれると言っても良いかも知れません。その両者の関係について見ていきましょう。

■旋律に合う和音をさぐる■
 私たちがふだん耳にする音楽の多くは、ハ長調の曲とかト短調の曲といった具合に調性を持った音楽です。
そしてその調の中で旋律をうまく支え、響きを創り出すものとして和音をとらえています。
 和音がうまく旋律を支えるためには、旋律に合う和音を見つけ出すことが必要ですが、そのために何を手がかりにすれば良いのでしょうか。それがここまで見てきたそれぞれの調と調の主要三和音や副三和音、関係調の和音についての知識や演奏経験だと言えます。とは言っても決して難しいことではありません。
たとえば、次のような旋律であれば、楽譜を見ただけで各小節にどんな和音がふさわしいかすぐに思いつくでしょう。
上の楽譜には調号が記されていません。
とりあえず固定ドでこの旋律を読んでみると「ミ」ではじまり、「ド」で終わっています。
調号が書かれておらず、「ミ」ではじまり、「ド」で終わるということは、この旋律が「ハ調の長音階」で書かれていると見て良いでしょう。つまり、「ハ長調の曲」だと推測できます。
ハ長調の主要三和音は、前にも見たように
●T〜ドミソ:C
●W〜ファラド:F
●X〜ソシレ:G、X7〜ソシレファ:G7
です。
 1小節目の旋律は、「ミソソミ」と「ミ」と「ソ」の二つの音だけで構成されています。主要三和音の中で、「ミ・ソ」を含むのは「T」の和音ですから、どうやら1小節目に合うのは「T」の和音だと見て良さそうです。
 また、2小節目は「レ」と「ソ」の二つの音で歌われています。主要三和音の中で「レ・ソ」を含むのは「X」の和音ですから、2小節目に合うのは「X」の和音と見て良さそうです。さらに、3小節目では「ファ・レ・シ」の三つの音が使われていますので、「ソ・シ・レ・ファ」という四つの音で構成されている「X7」の和音が合うと見て良いでしょう。
※上の楽譜をクリックすると、音を聴いて確かめることができます。
 しかし、私たちがふだん耳にする音楽で、この例にあるように「和音を構成する音だけ」でつくられているものは多くはありません。 むしろ少ないと言って良いほどで、和音以外の音(非和声音)を含んでいる旋律の方がずっと多いのです。
 たとえば次のようです。
 このように旋律の中に非和声音を含めることで、旋律がメロディックになったり、動きがなめらかになったり、自然な流れをかもしだしたりすることができます。そうなると、旋律に合う和音を見つけ出すことが難しくなりそうですが、そのフレーズの中で重要な働きをしている音とそうではない音、強拍にある音とそうではない音を見極め、そのフレーズを強く支配していて影響力のある音を見つけ出すことができれば、ふさわしい和音を見つけ出すことができるでしょう。そこで、次のページではちょっと寄り道をして非和声音について簡単に見ていくことにしましょう。

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