驚愕の1台です。部品アッセンブルはもとよりそのバランス、フレームラグワーク、また全体的な纏まりも素晴らしいの一言です。カラーはライトグリーンメタリック。

今回ご紹介するマシンの最大の特徴は・・・・チェンジにあります。戦前のモデルで当時のアワーレコードホルダーでもあるOscar EGGにより開発された"SUPER CHAMPION"チェンジで今では大変珍しく貴重だと思います。同時期のイタリアには同じような機構にVITTORIA "Margrherita "チェンジがあり、イタリアのチャンピオン、Gino BARTALIが使用していました。ちょっと個人的な話なんですが・・・・小生の行きつけのお店にこのチェンジが置いてありました。もうパンタ式の時代でしたから見向きもしませんでしたが・・・・
チェンジのメカはご覧の様にチェーンをディレイルさせる部分とテンションの部分が別々になっています。今のメカは両方が一体になっていますよね。操作は今のメカと同じで4速程度はチェンジ出来るようです。キャパシティーは・・・・恐らくCampagnolo Gran-Sport程度(13Tです)ではないかと思われます。とにもかくにも完成車にこのチェンジが装備されていのを見たのはこれが初めてで、今後も多分めったに見られない貴重なマシンになっています。それではオーナーのコメントです。


この双輪は35年ほど前になるのでしょうか、昨年亡くなられた横浜CCY氏にブレーキレバーを貰った事から始まっています。「ジーノバルタリ」モデルというものでメーカーも何も分かりません。刻印は「登りの王者」だそうです。貰った時は左右1Pが入る紺色のイラストが書かれた小さな箱に入っていました。長い間何に使うという事も無く棚の上で遊んでおりました。スーパーチャンピオンのブランド名は第1回のクラブラリー(1968)CHIZUKA氏のリムにその銘がありました。カンティーブレーキとマビックのクリテリュームのリムとの相性に疑問を感じていましたのでスーパーチャンピオン=非常に良いモノとある種の信仰にも似たものが出来上がった様に思います。20数年前ですがISHIHARA氏やTAKIGWA氏を介してKAJIWARA氏やMURAKAMI氏などと知り合いになりました。今回の双輪はそれらの人やNONOMURA氏やTSUCHIYA氏の店からなどのパーツを(TOEI社に)持込みました。細かい品々は東叡社で都合してもらっています。

Special Thanks: 久間悟朗さん

チェーンホイール。

クランクはStronglight55 170mm。3アーム鉄コッタードクランクで重量はズッシリとありますが・・・・クランクシャフトは中空でなるべく軽量しにしようと言う努力のあとが見て取れます。

リングはSuper Champion 47×44。
当時のチェーンリングの歯数差はこのように3〜4T程度のものが普通でした。

チェーンホイールの後ろに"Super Champion"のテンションアームが見えています。またFメカも"Super Champion"です。このFメカ取り付けの為にAD-HOCポンプはシートチューブ後側になってしまいました。

リヤメカシフター部分。

メカはもちろん"Super Champion"でこのチェンジはフォークでチェーンを左右に移動させてチェンジします。
このメカはOscar EGGが考案、'34年頃登場しました。
エンドはTOEI オリジナル。

ほぼ同時期のイタリアに同じ機構の"VITTORIA Margherita"があり、主にイタリア選手が使用していました。

フリーは"CYCLO Pans" 16×18×19×22。 4speed。

"Super Champion" チェンジ全景。シフト部分とテンション部分がセパレートになっているのが良く分かると思います。

ペダル。

珍しいペダルでShefield Sprint。あまり見たこと無いペダルで珍しいと思います。
クリップは・・・・Super Champion。
ストラップは国産三ケ島。

ブレーキアーチ。

ブレーキアーチは"BEBOREX"という、見たことも聞いた事も無い!!非常に珍しいメーカーのサイドプル。通常のサイドプルブレーキと違って写真では見えない左側アーチの先でワイヤーを止めます。

いやはや、大先輩の珍しいマシンを取材させて頂いてこういう知らないメーカーや部品を勉強させてもらって・・・感謝しております。

サドル。

サドルはBROOKS B17 Swallow。最近新製品が出ましたが、これは元々からのものです。

ピラーはなんと!! 鉄製Simplex 26.8mm。もちろんバッジ付のものになっています。

美しいヘッド部分。

フレームチューブはReynolds531、ラグはTOEI Original。
このカットですが、今まで見た事無いカットで、Bカットにヒゲがついて三角窓が追加になった・・・・タイプ???一品製作の特別製ラグのようです。クラウンはNervexですね。

ヘッド小物は昔懐かしい愛国のヘッド。昔からありましたよね。

チェンジレバーは"Super Champion"。チェンジレバーの他にチェ−ンのテンションを取るデテンションレバーも装備しています。長いレバーがチェンジ用、外側小さい2本のレバーはデテンション用のレバーです。

ハンドルバー部分。

ハンドルバーはリーチが極めて少ない、'40年代あたり?のGB "Road Chamopion"というバーです。
ステムはTOEI original 。エクステンションは85mm。
ブレーキレバーですが、メーカーは???
Gino Bartaliモデルです。

ヘッド付近。

きわめて入手困難な七宝焼"STAG"のヘッドマークです。
小生も"STAG"のヘッドマークのマシンは一台所有していますが、黒地に金の鹿のマークでした。いくつか種類があるようです。

ヘッドラグにはご覧の様にヒゲがあり、やはり特別製のラグになっていますね。
Fキャリアのマウント上側はサイドプルの関係上、ブレーキアーチのシャフトで止めています。

ハブ。

このハブも今回初めて拝見しました。
どうやらドイツ製?のようで"BISMARCK"というブランドのハブです。巨大なフランジがリベット止めで取り付けられていています。


スポークはStainless、張り方は少々特殊な4本組みになっています。

ブロックダイナモ。

ブロックダイナモはJOS。Typeは・・・・???
珍しいダイナモで"Type P"なんかは良く見かけるのですが・・・・???

リフレクター。

申し訳ありません、メーカー、型番などちょっと不明です。
シンプルでこのマシンには良く似合っていると思います。

チェーンテンショナー部分。

"Super Champion"チェ−ンテンショナーを左側から見るとこのようになります。

コントロールレバーからのデテンション用ワイヤーがアームの先に取付けられているのが分かります。

タイヤ。タイヤはVIittoria Corsa EVO-CX チューブラー。このタイヤのWOタイプもあり、小生も使っています。

リムはこのマシンの象徴的な部品の1つでSuper Champion 木リムです。1度は木リムのマシンをオーダーしたいと考えていますが・・・・・???

フレーム tube:Reynolds531 TOEi Original Lug、TOEI Original end size:540mm top:540mm
ハンガー小物 Stronglight
ヘッド小物 AIKOKU
コントロールレバー Super Champion
Fメカ Super Champion
Rメカ Super Champion type "Tour de France"
クランク Stronglight 55 steel
チェーンリング Super Champion 47×44
チェーン SHIMANO UG
ペダル Shefield "Sprint"
クリップ Super Champion
ストラップ MIKASHIMA
ガード HONJO 700C
タイヤ Vittoria Corsa EVO-CX
リム Super Champion Wooden rims
スポーク stainless
ハブ BISMARCK LF 36H
フリー Cyclo Pans 16×18×19×22 4speed
サドル BROOKS B-17 Swallow
ピラー Simplex Steel 26.8mm
ステム TOEI Original 85mm
ハンドルバー GB "Road Champion"
ブレーキレバー "Gino BARTALI" Model
バーテープ FUJITA Leather
ブレーキアーチ "BEBOREX"
ブロックダイナモ JOS
リフレクター un known
ポンプ AD-HOC "VENTOLUX"

2010 TOEI Sportif "Super Champion" MODEL 仕様表

■編集後記

最初に書くのを忘れましたが・・・・このマシン、オーダーは平成3年(1991)だったそうです。でフレームはその後時を置かずして完成していたようですが・・・・☆野氏は全然手をつける様子も無く時は流れて・・・・去年(2010)奥様が所用で東京へ行ったついでに川口へ寄ったところやっと完成したという・・・・・オーダー納期実に20年!!引き取って(「ブレーキレバーを提供して頂いた)友人である横浜Y氏へ見せるべく行った所'、09年大きな手術をされていて病院へ行った所週末で一時帰宅されていてお会い出来ず、それから約一週間後にお亡くなりになったという事です。このマシンにもこのようなエピソードがあり、コメント共々送って頂きました。
さて、今回のマシンですが、年代は'40年〜’50年あたり?今ではめったに見られない貴重な珍しい部品で構成されていてその最たるものはやはり"Super Champion"のメカで実車に装備されているのは初めて拝見して大変良かったと考えています。前にも書きましたが、行き付けのお店にこのメカ置いてあって当時は興味もなかったので「フ〜〜〜〜ン!!」で終わっていましたが・・・・(笑)
今回のオーナー、久間悟朗さんにはコメント、資料など全面的にご協力頂きお世話になってしまいました。この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。最後まで見て頂いて有難うございました。

2010  TOEI  Sportif  "SUPER CHAMPION"  MODEL

No65

2011.2.18