1948  ORTLER Campagnolo Cambio Corsa Model

本アルバムでは初めてのCampagnolo Cambio Corsa 仕様の極めて珍しい'40年代ロードレーサー、カラーはライトブルーメタ+黄色胴抜き+CP仕上げです。

オルトレールロードについて
 1940年代のフレームで、メーカー名はイタリアの「ORTLER」(オルトレール)ですが、イタリア北東部にあるオルトレール山群から銘々された工房と思われますが、詳細は不明です。
この自転車を入手したのは2006年3月でした。当初フレーム、前後ハブ、ディレーラー、スポークプロテクター、シートピラー固定バンドだけでした。カンビオコルサの付いた自転車の多くがイタリア部品で構成されていますが、2006年4月29日のアイズバイシクル主催のカッパデルカンビオバケッタに出場することになり、部品をそろえる時間が無く、手持ちのフランス製部品で組み立てました。
 当時はロー付けの技術が無く、フレームはロー盛りにより製作されました。リアブレーキの内蔵工作はこの頃の2〜3年間の間だけに流行したものです。アウターワイヤーごとフレームの穴に通してあり、フレームパイプ内にはガイド等は全くありません。ブレーキはMAFACのレーサー(デュラル フォージド )ですが、友人のアレックスサンジェに付いていたもので、アレックスサンジェでバフ研磨されたものです。支点部分のフラスティックのパッキンはフレーム色に合わせて製作しました。

SPECIAL THANKS: つっちーさん

チェ−ンホイール。

クランクは・・・・・非常に珍しい、Stronglight♯45、5ピンの鉄コッタードクランクです。

リングは同じくStronglight♯32、歯数は47T。

イタリアのフレームですので本来はMagistroniあたりの部品でアッセンブルされていた、と思われます。

それにしても昔の部品は・・・・・優雅ですよね。

この車の核心部、変速機です。

チェンジはCampagnoloのごく初期の変速機、"Cambio Corsa"。この変速機は2本レバーの"Cambio Corsa"ですが、改良型1本レバーの"Paris Roubaix"も後から出ました。

大変ユニークな構造をしています。構造は簡単?みたいに見えますが、操作は非常に熟練を要します。

@ハブのクイックレバーをゆるめて固定を解除。
Aペダルを逆転する。
B変速レバーでギアを選択。
・・・・するとハブが動きテンションは自働で取ります。
Cハブのクイックを締めてハブを固定。

・・・・以上で変速は完了。

最大の問題点は登りに掛かってチェンジの際、ペダルを逆転しなければならない・・・・という点でした。イタリアの名選手、G・バルタリはこの点でこの変速機にほとほと嫌気がさしていたという、エピソードがあります。

サドル。

サドルはフランス、IDEALE♯80 Criterium。
BROOKSのSwallowみたいな形状をしていて、いかにも乗りやすそう・・・・です。

ピラーはTOEI 1本ピラー。ヤグラはIDEALE Orjginal。

シートピラー固定バンドにケーブルストッパーがついています。なお、ケーブルはTOPチューブ内に内蔵になっています。

美しいヘッド部分。

フレームチューブ銘柄はハッキリ分かっていなくて多分ハイテン?(だそうです)

ラグはORTLER Originalラグ。見慣れているイタリアンカットラグとはちょっと違います。

ヘッドは一見Stronglightに見える"WAY-ASSAUTO"という、ヘッド小物。初めて拝見しました。


ハンドルバーはAVA Criterium、ステムはPhilippe70mm。

ハンドルバー部分を前から。

ブレーキアーチはお馴染みMAFAC Dural Forge。
まあ、イタリアの車なので本来はUniversalあたりがついていたと思います。通常は赤のワッシャーですが、フレーム色の青で製作してありました。

この車の塗装ですが、オリジナルに忠実にレストアしてあって、違和感が全然ありません。マーク類も忠実に再現してありました。

約60年前の自転車ですが、コンディションは非常に良いといえると思います。
間違いなく博物館級の自転車ですが、目の前で走っている姿やチェンジの様子、また自転車そのものも見られて非常にラッキーでした。

ハンドルバーを横から。

バーはAVA Criterium。バーテープはCotton。
ブレーキレバーはMAFAC。レバーサックがついています。

ダウンチューブに装備されているポンプはLAPIZE。

前ハブ。

ハブはCampagnolo Cambio Corsa SFQR 36H。
ハブはGran Sportと同じ3ピース構造継ぎハブになっています。

リヤはCambio Corsa専用モデルでギヤがついていてエンドのラック(歯)と噛み合って移動し、チェーンテンションを取る構造になっています。

後ハブ。

Cambio Corsaはハブ、エンド、クイックレバーとチェンジレバーが全部揃って初めて機能します。

エンドは専用モデルでラック(歯)がついていてハブのギヤと噛み合っています。チェーンテンションを取る為に前後に移動しても左右方向にはぶれない構造になっています。


写真ではTOPギヤでハブが奥に来ていますがローギヤでは前の方に移動します。

Cambio Corsaはチェーンが外れやすく、プロテクターは必需品となっています。

ダウンチューブの"ORTLER"のロゴ。塗装は出来上がったばかりみたいにピカピカしていました。とても60年前の自転車には見えません。

タイヤはVittoria Competition FORMULA UNO。当時のコースは例外なく未舗装であり、資料を見る限り使用チューブラー
タイヤは相当太かったようです。

今でもイタリア・コモ湖の近くで工房を構えるCERCHIO GHISALLOの木リム”Strada"。ここの木リムはタイプがいくつかあり、使用目的に応じて選ぶことが出来ます。キノピオさんやI'sさんなんかで扱っています。

ペダルはLyotard♯23、クリップはAFA、ストラップはLAPIZE。このあたりは定番ですね。

変速の様子を拝見させて頂きました。つっちーさん、いやなかなかどうしてどうして御見事でしたね。       →

フレーム Tube: unkown
Ortler Original Lug
size: 540mm top: 545mm
リム CERCHIO GHISALLO "Strada" 36H
スポーク DT♯15
ハブ Campagnolo Cambio Corsa
ハンガー小物 Magistroni QRシャフト Campagnolo Cambio Corsa
ヘッド小物 WAY-ASSAUTO フリー ATOM 14×16×19×22
チェンジ Campagnolo Cambio Corsa サドル IDEALE ♯80 Criterium
クランク Stronglight45 165mm ピラー TOEI 25.8mm
リング Stronglight32 47T ハンドルバー AVA Criterium 390mm
チェーン DID バーテープ Cotton
ぺダル Lyotard ♯23 ステム PHILIPPE 70mm
クリップ AFA ブレーキレバー MAFAC
ストラップ LAPIZE ブレーキアーチ MAFAC Dural Forge
タイヤ Vittoria Competition FORMULA UNO ポンプ LAPIZE

1948  ORTLER  Campagnolo  Cambio Corsa Model  仕様表

編集後記

大体月に1台、こうして今では珍しい、クラシックで凝った車をご紹介しておりますが、今回で37台を数えるに至りました。ご協力して頂いたオーナーの方々にはこの場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。今回は本アルバム初Campagnolo Cambio Corsa仕様'40年代の超クラシックロードレーサーです。Tour de Franceでは変速機禁止の時代があって、'37年頃変速機解禁になりましたが、ここから変速機の歴史が始まります。Campagnolo Cambio CorsaはCampagnoloの極初期の変速機だと認識しています。この時代の偉大なイタリアのチャンピオンはなんといってもGino Bartaliであり、このチェンジで'48年Tour de Franceに優勝します。しかし、チェンジの時に逆転しなければならないことにほとほと嫌気がさしていたそうです。この後改良型の1本ロッド式"Paris Roubaix"が登場します。 

今回はつっちーさんに全面的にご協力頂きました、この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。また次のクラシック名車アルバムですが、大変お待たせ致しました。(笑)日本に現存するRene'HERSEでは1番古い、しかも部品はほぼオリジナルの'46年製Rene'HERSEをご紹介出来ると思います。お楽しみに。


No37

2008.6.12