No36

193?  LONGONI  Touring  Model

'30年代後半と思われるフランス・ツーリングモデル草創期の車LONGONI 、今の目から見ても凄く革新的だった事が分かります。カラーは渋い青色+黒の線引。

1930年代の後半に作られたと思われるLongoniで、ほぼオリジナルだと思われます。戦前の自転車なんて、鉄の塊で重くて錆びやすく欲しいなんて思ったことはありませんでしたが、偶然実車を手に入れ完成度の高さにびっくりしています。

 確かにアルミ部品はガードとシクロのプーリーくらいで、車重も16キロ近くありますが、ポジションに違和感がなく、鉄製のリムも重さを感じさせず、ギア比もワイドなのでツーリングにも使えます。今のところブレーキはあまり効きませんが、シューを変えればそれなりに効くと思います。少し違和感があるのはホークの柔らかさで、これはパリの石畳を走るのに必要だったのだと思われます。

 フレーム工作はブレーキやチェンジ、チェーンガード、リアキャリア等の直付け、アウター類の処理やガードの取り付け、電気コードのキャリア内臓までしてあり、1960年ごろの日本のオーダーメイドより進んでいたのではと思っています。

 当時フランスにはReyhandの様な高級車もあり、車重11キロと現代と遜色の無い重量ですが、これはレースのための特別仕様であり、一般のツーリング車には耐久性や価格面でアルミ部品が使われることは少なかったと思います。

 この時代の種々の試みを完成させたのがエルスではないかと思いますが、試行錯誤のこの時代の自転車には完成されていない原石の面白さがあると思います。

SPECIAL THANKS: ZEUS2000さん

チェーンホイール。

クランクはLONGONI。当時はSteel製コッタードでデュラルミン製コッターレスクランクの出現はもう少し待たなければなりません。

リングは同じくSteel製のCyclo ROSA 44×28。
写真を見る限りWギヤは取り外し出来るようですがアウターインナーギヤはカシメてあり単独での交換は出来なかった?ようです。

FメカはSimplex Avant♯39 。どうやらこのメカは後付のようで当初は前変速機なしでWギヤだった?ようです。

リヤメカ。

リヤメカはCYCLO Randonneur 4speed。ブラケットはオリジナルのようです。通常はハンガーの下から来ているWワイヤーはコントロールレバーがTOPチューブにある為上から来ています。

当時にしてすでにエンドはストレートなのに注目!!(凄いですね)
フリーはATOM 14〜24 4speed。

ウィングナットは聞いたこともないメーカー、Oxo。
チェーンはRenold。

ブレーキアーチ。

当時にしてセンタープル台座直付の先進的メカはこれまた聞いた事もないメーカーのJeay。

リターンスプリングが1つだけ・・・とか、ブレーキアーチ本体にアウター受けがついている点など今の目から見ても凄く斬新なことが分かります。


リヤキャリアはフレームに直付。ベルト通しのガイドなども直付してあります。

右シートステーのケーブルはリヤメカのコントロールワイヤーなんですが、驚くべき事にアウター止めが直付してあります。

サドル。

私はフランスのサドルはIDEALEしか知らないのですが(笑)これはPEARLと言うメーカーのType Record。外観はイギリスのBROOKSみたいにも見えます。当時のサドルが70年経った今日でも未だに使えるというのは本当に驚きです。

当時はまだ鉄鋲で我々お馴染みの銅鋲はまだ少し後に登場になります。ピラーは鉄製の1本ピラー。

ラグレスが美しいヘッド付近。

ヘッド小物は?Stronglightとは違うフォルムで初めて拝見するヘッド小物です。

ハンドルバーとステムですが、クランプボルトが無いのに注目。LONGONI製で直付してあります。ステム長さは約70mm。

リヤメカのコントロールレバーは当時はTOPチューブが普通?前のオーナーはかがむ姿勢が苦痛だったのかも?

塗装はベタ塗りの渋い青色で黒のボックスラインが引いてあります。

ハブ。

ハブは当時としてはSteel製が普通でLONGONI製SF36H。
スポークは当時のSteel製ですが、すでにバテッドです。
ウィングナットは前出のOxo。

ハンドルバー部分。

ハンドルバーステムはLONGONI。ブレーキレバーはブレーキアーチと同じJeay。本当にレバーだけでフッデッド部分はないです。極初期のブレーキレバーといえると思います。

バーテープは現代のCotton製。

ヘッドランプ。

'30年代後半オリジナルのランプは聞いたこともないRadsonner。
当時は多数のメーカーが有った様でJOSやSoubitezなどもその中の1つに過ぎないのでしょう。

レンズは外れないようにテープで処置してありました。

ダイナモ。

ダイナモはこれも初めて拝見するRADIOS Type-M。
ヘッドランプとテールランプへ行く配線が見えます。

当時は前フォークに取り付けるのが普通だった?
私の最初の車はやはり前フォークにダイナモがありましたね。

リフレクター。

リフレクターは?JOSに良く似た物がありますが・・・・・???

ガードは42B用MAVIC Studal。この車では珍しい軽合製。ステーやダルマネジなどは鉄製のようです。

リム。

リムはRIGIDA 650B Steel製。
タイヤは現代のHutchinson 650×42B。

入手された時は錆が凄かったみたい?でレストアの苦労が偲ばれます。

ヘッドマーク。

ヘッドチューブのLONGONIヘッドマーク。

イタリアもそうですが、かの国のヘッドマークはどうしてこんなに素晴らしいのでしょう・・・・???重厚な感じで凄く好感が持てる物です。

ハンガー部分を左から。

今の車のチェーンステーはほぼ真っ直ぐですが、この車のチェ−ンステーはガードに合わせて曲げてあります。

Fメカは後付なのが良く分かるショット。(ポンプペグが残っています)

ハンガー上のグリスニップルに注意。分解しなくてもグリスガンでグリスを注入出来るようになっています。

ダウンチューブ。

ダウンチューブのLONGONIのロゴマーク。
この車は例の本、"The Golden Age of Handbuild Bicycles"に載っています。本の車はSuper Tandemで、この車、Touring Modelは多分本邦初公開?いやはや、凄い車だと思います。

ポンプの銘柄は・・・・???

フレーム LONGONI original
lug-less
スポーク steel
ハブ LONGONI SF36H
ヘッド小物 un known フリー ATOM 14〜24 4speed
ハンガー小物 LONGONI ウィングナット Oxo
Rメカ Cyclo Randonneur 4speed ハンドルバーステム LONGONI steel
Fメカ Simplex Avant♯39 バーテープ Cotton
Rコントロールレバー Cyclo ブレーキアーチ Jeay
Fコントロールレバー Simplex ブレーキレバー Jeay
クランク LONGONI サドル Peal type Record
チェーンリング Cyclo Rosa 44×28 ピラー steel
チェーン Renold ヘッドランプ Radsonner
ペダル un known テールランプ un known
ガード MAVIC studal リフレクター un known (JOS?)
タイヤ Hutchinson 650×42B ダイナモ RADIOS type-M
リム RIGIDA 650B steel ポンプ un Known

193?  LONGONI  Touring  Model  仕様表

編集後記

今回のLONGONIですが、本クラシック名車アルバムの1番古い車になると思います。'30年代後半といえば私の母親がまだ小学校に行っていた時くらいで昭和10年代、まだ戦前の時代です。日本はイギリスのクラブモデル全盛期の時代で鳥山さんとか菅沼さん、和田文平さんといった日本のサイクリング草創期のメンバーが活躍していた頃・・・・です。当時はまだフランスタイプの車は日本には輸入されてなく昭和29年鳥山さんのRene 'HERSE Touring Modelまで待たなければなりません。

当時にあってこのような先進的な車がフランスではすでに存在していました。本当に驚くべき事だと思います。フランスの車はRene'HERSEやAlex SiNGERが昔から有名ですが、それ以前の時代の車については情報はきわめて稀です。今回の車は今ではほとんど見られないRene'HERSEやAlex SiNGER以前の時代のフランス・ツーリング車ということで非常に貴重な車になっていると思います。この時代のフランス・ツ−リング車については「The Golden Age of Handbuild Bicycles」が詳しいです。是非一度ご覧になって頂きたいと思っております。今回はZEUS2000さんに全面的にご協力頂きました。この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。最後まで見て頂いて有難うございました。

■参考資料

この車のSuper tandemが載っている 「The Golden Age of Handbuild Bicycles」。このような昔の美しい車に興味のある方は・・・・是非入手して頂きたい本です。値段はちょっと張りますが、今では見られない古き良き時代の車が多数載っています。

オーダーの参考にもなると思います。写真が美しく見ていて飽きません。

2008.5.13