自作自転車工房訪問記

いや、世の中凄い人がいるものです。なんと、自転車を作る設備、すなわち酸素アセチレン溶接設備一式、フレーム溶接冶具、前フォーク溶接冶具、前フォーク曲げ冶具などホームセンターから材料を買ってきて自作、検査用工具も一式揃えて・・・・・・でフレームだけではないです。FRキャリア、ステム、ボトルケージも自作で、ついでに・・・・Fバッグも自作です。資料はアメリカからハンドメイドフレーム専門書を取り寄せて翻訳、いろいろ勉強して試行錯誤しながら試作なんかも経てついに・・・・・現在までに3台自作マシンが完成しました。ビルダーはわが三重県はもとよりサイクリストの間では有名な?syoyama氏です。「三重の峠」と言う本を執筆されています。このほど仲間4人で工房を見学させて頂きました。工房は家の横にある作業小屋みたいな感じでまあ自転車収納の為のものです。ここでコツコツ作業して約1年がかりで1台完成・・・・・という...ことです。フレーム材料のパイプやラグ、エンドやクラウンなどは国内外から調達、国内のパイプ製品はkaiseiを主に使うそうです。もうすでに沢山のノウハウを持って見えるようでいかにお金をかけずに身近に有るモノで精度の良い美しいフレームが作れるか?という点に重点を置いているそうで、いや、凄いと思います。自分で欲しい・・・と思ったマシンを自分で作って走れたら・・・・もうこれは自転車趣味としてこれ以上ない最高の趣味のような気がします。写真は最新作3台目のマシンで8月完成したばかりだそうです。7月にtelした時は塗装が上がって来てこれから組付け・・・・と言う所でした。一見してどこかの有名工房ハンドメイドマシン・・・・としか見えません。いや、素人が完成度の高いツーリングマシンを作ることが出来るのか・・・・と本当に驚きました。

■ビルダー: Syoyama takeshi 氏
■訪問:2014.8.24
■参加メンバー: 北勢地区在住サイクリスト計4名
■工房所在地: 三重県久居市内

※今の所年間1本程度の製作で一般からのオーダーは受けていません。ご了承下さい。

前フォークは1本ずつ溶接前にこの冶具で曲げます。
なんと常温でそのまま曲げているそうです。
当然の事ながら自分で考えて設計図を引いて製作した自作品です。

■設備は・・・・ホームセンターから材料を調達して自作

■資料&パイプ、ラグ類

執筆された「三重の峠」の本。

パイプ類は国内はKaiaseiをオーダーしているそうです。パイプはセット販売ではなくて1本からでもOKで従っていろいろブレンド出来るそうです。

アメリカからの専門書、これはアマチュア用ですがプロ用の本ももちろん所有されています。全部英語で翻訳するだけでも・・・・???

基本的にラグ付きフレームを製作されているようです。ラグはアメリカからのロストワックス製の精密鋳造ラグ。すでに次のフレーム製作の方の名前が入ったラグがありました。

次に製作するフレーム用パイプ。11本セットでお値段は・・・・10K程度だそうです。

トーチ。酸素アセチレン用で加工口は種類多数あります。
ボンベは1番小さいサイズの物です。

フラックスと黄銅ロー。これも種類が多数有って特に黄銅ローは一般向け小口注文は入手が非常に難しいそうです。

前フォークと前3角を作ったらこの冶具にセットしてバックを溶接します。右側の保持部分は精度を出すためのものと思われます。これでセンター誤差1mm程度で溶接出来るそうです。各保持部分は位置も動かせてサイズが変わっても対応可能としています。

前フォーク製作冶具。クラウンに左右ブレード、フォークコラムを溶接するための冶具です。拝見するに・・・・・ブレードはあらかじめ曲げてから溶接するようになっているみたいです。

ちなみに・・・・・TOEI社では真っ直ぐなブレードをクラウンに溶接して冶具で3回に分けて左右ブレードを同時に曲げています。ですのであのような美しい先溜めの曲線が得られる・・・・という寸法ですね。

■自作自転車記念すべき1台目は・・・・

息子さんの通学用に製作した自転車。キャリアやチェーンガードも自作品です。いや、とても自作の自転車には見えません。なんでも使い方が荒いそうでキズキズになってしまったそうです。

■自作2台目マシン

700×28C スポルティーフ。チェンジは Huret Jubilee、チェーンホイールはTA、サドルはリーガルですが、あとはほぼ国産で纏められています。ステム、キャリア、ボトルケージも自作品。このマシンはまだRブレーキケーブル内蔵はしてないですね。

■チェーンホイール。

チェーンホイールはTA ZEPHYR 46×34。 チェンジはHuret Jubilee、 ペダルはCampagnolo Record Pistaというアッセンブルになっています。ギヤ比はこのあたりが使いやすいですよね。
 

■Rチェンジ。

RチェンジはHuret Jubilee。 小生も1時期使っていました。'72年頃日本に入荷しましたよね。美しいデザインで人気ありました。
エンドは凄く小振りなエンドでステーの止め方が変わっています。

■ヘッド部分。

ラグのデザインは独特のものですね。国内工房ではあまり見かけないデザインになっています。ステムやバッグサポーター、Fキャリアも自作品。

Wレバー台座やブレーキ台座直付けは高い技術が要求されるのですが・・・・正確な位置に直付けされていて本当に驚きです。

■サドル。

サドルはリーガル。ピラーはShimano Dura Aceのようです。ピラーの出具合はフレームサイズに比例します。サイズが大きいマシンは出具合も大きくなります。

■自作3台目マシン 完成:2014年8月

最新作700×33Cツーリングマシン。いや、素晴らしいです。一見して有名工房ハンドメイドマシン・・・・としか見えません。完成度も前2台より格段に上がっているように見受けられます。フレームチューブはオーバーサイズ、部品はほぼShimano Dura Aceで纏められています。

■チェーンホイール。

クランクはShimano Dura Ace。トリプルでアウターは48T、インナーは34T程度のようです。FメカはCampagnolo Chorus?

■リヤメカ。

リヤメカはShimano Dura Ace。このようなツーリング用の製品があるとは知りませんでした。エンドは非常に小振りな製品でスマートだなと言う印象です。カセット歯は非常にクロスレシオになっています。

■サドル サドルはリーガル、ピラーはDura Aceですね。シートラグ周辺の仕上げはかなり上達しているとお見受けしました。

■ヘッド、ハンドルバー部分。

ヘッドラグはシンプルなイタリアンカット。クラウンもTOPはフラットなものになっています。ステム、キャリア、Fバッグは自作品。ヘッド部分の仕上げはやはり上手くなっているのが分かります。特筆すべきはFブレーキアウター受け部分。ブレーキ本体から近い方が効率は良いそうでオリジナルになっています。

手製の冶具他1つ1つ親切丁寧に説明して頂きました。
いやもう・・・・・こんな事は他では多分出来ない経験だと考えています。

工房見学会はこのようなざっくばらんな感じで行なわれました。仕事場は他の工房では見学は難しいと思います。1つ1つ説明をしてもらって実物の自作自転車や冶具他設備など拝見させて頂きました。

■工房見学の様子

雨が降ってきたのですが・・・・・・

最後に記念写真を撮りました。この写真は奥様に撮影して頂きました。工房は右の離れの中になっています。ちょっと目には分かりません。

■編集後記

これで工房訪問は3回目になると思うのですが・・・・だんだん上達して行っているのが分かります。いやもうこれは・・・・ブランド立ち上げて新規開業・・・・・してもおかしくない?小生はそんな思いを持ったのですが、syoyama氏は純然たる趣味でやっているから面白い・・・・んだそうで今の所オーダーは受けていません。それでも友人や娘さんのマシンが製作待ちで使用ラグなんかもすでに決まっています。これまで自分なりに勉強して設備を揃えて冶具を自作して材料を購入してして自作マシンを作ってしまう・・・・というある意味究極のサイクリストの方には他にはお目にかかっていません。もうこれは自転車趣味のこれ以上無い一つの究極の姿・・・・と言えるのではないでしょうか?大多数のサイクリストは小生も含めてハンドメイド工房にオーダーする・・・・・に留まっています。県内のごく近い場所にこのような方がいてしかも知り合いで見学会も気軽に引き受けて頂いて非常にラッキーだと考えています。大変好評の企画ですので年に1回程度は行ないたいなあ・・・と思っています。大人数は無理ですのでどうしても是非見学したい・・・という方は連絡して頂きたいと思っています。他では見られない非常に貴重な見学が可能だと思います。最後に工房見学を快くOKして頂いたsyoyama氏にこの場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。

戻る         TOP

2014.9.5