195?  BOTTCCHIA  Campagnolo  Paris-Roubaix  Model

約60年前のマシンが時空を超えて現代に蘇りました。ほぼ当時のアッセンブルで非常に貴重なマシンです。カラーはスカイブルーメタ+CP洞抜き。

このマシンですが・・・・・いや、驚きました。時代は'50年代初め、使用部品も当時のほぼオリジナル、今では貴重な1本ロッドのCampagnolo Paris-Roubaixチェンジ、憧れの木リム、何よりもフレームのレストアが素晴らしくて多分このマシンの新車状態はこんなんでなかったか?と思わせるほどの見事な出来栄えで非常に感銘を受けた次第です。手に入れられた時は(ebay)さすがに塗装も相当痛んでいたようで、それをこの状態にまでレストアしたI's BICYCLEさんの技術にはビックリしました。今日本ではこの'40〜'50年代のCampagnolo Cambio Corsa, Paris Roubaixチェンジのマシンはそんなに現存していません。仮に現存していても60年以上経過している関係上状態のあまり良くない車が大半だと思われます。その中にあって今回取り上げるこの"BOTTECCHIA" Campagnolo Paris-Roubaixモデルは素晴らしいレストア技術によりほぼ新車状態で日本ではなかなか見られない貴重なマシンになっていると思っています。それではオーナーのコメントです。

エピソード: 
比較的きれいな状態でやってきましたが、トップチューブとダウンチューブに最初はなかったと思われる乱雑なペイントの胴貫
があったのでオリジナルペイントはあきらめました。傷みがひどかったり、時代が合わなかったりで交換した部品は以下のとおりです。ハンドルバー、ステム、サドル、リム、タイア、チェーン、フリーまた、チェーンリングは48Tでは無理と思 ってTAの42Tに交換、変速機は一度使ってみたかったので、カンビオコルサからパリルーベに交換しました。ヴィットリアの白いブレーキフードが気に入ってるのですが、今にもちぎれそうなのが気がかりです。 以上 エピソードと言えるようなものではありませんが…
 
製作年度: よく判りませんが1950年代の初頭ではないかと思います。シリアルナンバーは 129287 です。 

このマシンのオーナーである、じのバルタリさんは今回初めてお目にかかりましたが、初対面にもかかわらずに取材をお願いしてしまいました。快く取材を引き受けて頂いてこの場をお借りしまて厚くお礼申し上げます。

■SPECIAL THANKS: じのバルタリさん

ダウンチューブのマーク。

ebayで買って送られて来た時は塗装がやや痛んでいたそうです。

塗装は塗り替えてマークもご覧の通り。見事に蘇りました。

クランク。

クランクはBottecchiaマークのF.Bのコッタードクランク。
ハンガー小物はMagistroniと思われます。ハンガーシャフトが中空になっている点に注意。

チェーンリングはTA 42T。
'40〜'50年代初頭のシングルギアマシンではギヤキャパシティは小さいので40〜42T程度の小さい歯を使用する事が多いですね。
ちょっとした上りや下りなど含めて2.5回転くらいが楽に走れるギヤ比だと思います。

リヤメカ。

リヤメカはこのマシンの1番特徴的な部品のCampagnolo Paris- Roubaix。ご存知のようにこのチェンジはエンド、ハブ、チェンジ本体全部揃わないと使用出来ません。

チェンジに際しては1度クランクを逆転する必要があります。かのバルタリはこのチェンジを使用していて坂道に差し掛かって逆転しなければならないこのチェンジにほとほと嫌気がさしていたそうです。


フリーとハブの間にディスクが見えますが、チェンジの時にチェーンがフリーとハブの間に落ちないようにする為絶対必要な部品です。

フリーはREGINA 16×18×20×22 4 Speed。

チェンジ全景。

ご覧のようにレバーはごく短いです。チェンジする為にはかがんで右腕を後方に目一杯伸ばす必要があり、体の柔軟性も必要。

これは改良型の1本ロッドですが、最初のCambio Corsaはレバーが2本あり、

■ハブのクイックをゆるめる・・・・・上部レバー
■ペダルを逆転してチェンジする・・・・下部レバー
■ハブのクイックを締める・・・・上部レバー

・・・・・という複雑な操作を強いられました。この1本ロッドのParis-Roubaixは上記の操作を1本レバーで出来るようにした改良型です。
ギヤキャパシティはせいぜい8Tといったところだそうです。

サドル。

サドルはBROOKS B17。相当走り込まれた感じで銅鋲も後部分は打ち直されたように見えます。

ピラーはunmaked alloy 26.2mm。
シートバインダーはDEOR 。

美しいヘッド付近。

フレームチューブはSuper VITUS。
ヘッドセットはBottecchiaの銘が入っていますが、イタリアの名門、
MAGISTORONIと思われます。

ラグのカットが非常に美しいですね。
ステムは横が削ってありますが、Ambrosio 8cm。


当時のマシンの特徴としてハンドルバーにボトルケージをつけた車が多く見受けられました。中にはWボトルのマシンもありましたね。ボトルケージはALE。

ブレーキアーチ。

ブレーキアーチはこの時代の定番、Universal Mod.39。
当時のブレーキアーチの特徴としてシューピボット間の距離が凄く長い(57mm程度)というのがありました。

で木リムですのでブレーキをかけるとリムの焼ける香ばしい香りが周りに立ち込めます。あの香りは非常に良いと思っています。(笑)

美しいヘッド。

ヘッドマークですが・・・・・このBottecchiaに限らずイタリアのメーカーのヘッドマークはやはりラテンの血のせいかどのメーカーも素晴らしいです。

このBottecchiaも伝統のあるメーカーですので、デザインや色使いなど塗装色やメッキと相まって素晴らしいです。このあたり、レーサーはやはりイタリアだなあ・・・・・という思いが一段としますね。

ハンドルバー。

ハンドルバーは
Reynolds pelissier 40cm
小生勉強不足で聞いたことの無いメーカーでした。

ブレーキレバーはVIittoria。ブレーキパッドが・・・・そろそろ寿命のようなのがちょっと気がかりです。

シートチューブ。

塗装はスカイブルーメタですが、シートチューブはCPで胴抜きしてあります。で塗装は塗り替えたのですがちゃんとBottecchiaのシールは再現しています。ウ〜〜〜〜ン、このあたり、レストアに対する情熱が感じられますよね。

ぺダル。

ペダルは初めて拝見した
Sheffield sprint 673というもの。
クリップはballilla。ストラップはCHRISTOPHE。

バーエンド。

バーエンドは当時のフランスツーリング車でもよくやられていたワインのコルク栓のようです。粋ですよね。

ハブ。

ハブは当然の事ながらこのチェンジ専用のものです。
エンドにはラック(歯が切ってある)があり、ハブシャフトはそれに合う歯車があります。

ハブ自体はCampagnolo Gran-sport です。

ハンガー付近を左から。

ハンガー小物はBottecchia。(Magistroni)
ワイーヤーリードやFメカがないのでスッキリしています。

リム。

この時代のマシンは木リムのマシンが多かったです。このリムは今でもイタリアコモ湖の近くで職人が1人でコツコツ作っているCerchio Ghissalo

数種類あり、いろいろ選べます。難点は・・・・・
非常に高価な点。おいそれとは買えないです。
ただしかし、マイルドな乗り心地やあの焼ける香ばしい香りの点など魅力もたっぷり。

小生は是非1台木リムで組んでみたいと考えています。

タイヤ。

今はもう・・・・何と言ったら良いのか・・・・???
伝統的な色のオーソドックスなタイヤが非常に入手困難になってしまいました。

奇抜な色のタイヤいろいろ作るのも良いですが・・・・そのラインナップに
伝統的なカラーのタイヤも1種類は是非残して欲しいと考えています。

このタイヤはVittoria Competition Rally.

195? Bottecchia Campagnolo Paris-Roubaix Model 仕様表

フレーム tube: Super VITUS
size:c-t 520mm top: c-t 545mm
スポーク stainnless
ハブ Campagnolo Gran Sport
ヘッド小物 Bottecchia (magistroni) フリー Regina 16×18×20×22
ハンガー小物 Bottecchia (magistroni) サドル BROOKS B17
Rメカ Campagnolo Paris-Roubaix ピラー unmaked alloy 26.2mm
クランク Bottecchia (F.B) シートバインダー DEOR
チェーンリング TA 42T ハンドルバー Reynolds pelissier 40cm
チェーン REGINA ハンドルバーエンド Cork
ペダル Sheffield sprint 673 バーテープ Cotton
クリップ Ballilla ステム Ambrossio 80mm
ストラップ CHRISTOPHE ブレーキレバー Vittoria
タイヤ Vittoria Compretition Rally 21 ブレーキアーチ Universal Mod.39
リム Celchio Ghisallo Wooden rim ボトルケージ ALE

■編集後記

前につっちーさんから1948 ORTLER Campagnolo Cambio Corsa Modelをご紹介頂いておりますのでこれで新旧Campagnolo 棒式チェンジマシンが2台揃いました。興味のある方は是非見比べて頂きたいと思っております。ちなみに I’sラリー2010ではこの2台のマシンは一緒に走りました。
つっちーさんのORTLERといい、今回のじのバルタリさんのBOTTECCHIAといい、レストアが非常に見事です。約60年前のマシンということになりますが、これだけコンディションの良い棒式チェンジのマシンは日本でもそうないと考えております。広い日本でも特に京都あたりがこの棒式マシンの密度が濃いかなあ・・・・と感じています。年に1回 I's ラリーが春に行われるのですが、大抵数台程度は棒式チェンジ車の参加があります。幸いな事にこのラリーに参加させて頂いているので今回このような取材が可能になりました。今回のBottecchiaマシンの取材に際し、オーナーのじのバルタリさんには全面的にご協力頂きました。この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。最後まで見て頂いて有難うございました。

2010.7.24

No59