1967  Rene' HERSE  "Randonneuse"

ダウンチューブの"Rene'HERSE"ロゴ。もちろんオリジナルペイントです。この本人自筆サインだけでもこのマシンの価値がお分かりの事と思います。マシンは'67年夏、当時光風自転車にみえたnuma氏が約1ケ月パリに滞在した際にRene'HERSEのアトリエに出向いて直接オーダーした有名なマシンです。カラーはビーズオレンジ。

■すべてはここから始まった・・・・・・・・

もう何回見たことか、このマシンが掲載されたNC誌'68年12月号です。
あまりにも何回も何回も見たものだから本はもうボロボロ、「へえ〜〜〜〜!!
ホオ〜〜〜〜〜!!」もう・・・・・驚きの連続です。

このマシン以前はイギリスタイプの「クラブモデル」が幅を利かせていたと思います。
「ランドナー」、いわゆる日本語で言う所の「小旅行車」というフランスタイプのツーリング車の原点とも言うべきエポックメイキング的な車だと考えています。

ホイールも以前は26'×1・3/8、 27×1・1/4などインチサイズでしたがこの車の登場から650B や700Cなどのフランスサイズのタイヤがだんだん増えて行き、使用バッグもそれまでのサドルバッグから前につけるFバッグ、キャリアーの合理的な形状と取付け方法、カーボンブラシ使用のコード完全内蔵、転倒しても破損しない位置の直付テールランプ、なによりも重厚なデザインのコッターレスクランク、リング等、目を見張るものでした。翻ってわが愛車はどうかと言うと・・・・鉄のリム、バーステム、鉄のコッタードクランク、鉄のチェンジ・・・・・などオール鉄製の部品の車しか知らない自分としてはこの車には本当に驚きました。

「いつかはこんな素晴らしいマシンを手にしたい・・・・・」と当時十代後半だった小生は心に誓ったのでありました。工房は違いますが、幸いな事にほぼ同じ'60年代フランス部品で'700Cランドナーを製作することが出来ました。製作にあたり、このマシンを参考にさせて頂きました。今回の取材にあたりオーナーのU野様には全面的にご協力頂きました。この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。

■現オーナーのU野さんからのコメントです。

このHERSEについては、あまりに有名で皆様よくご存知のことと思います。当時、光風自転車におられた沼勉氏が1967年にパリでオーダーされたものです。NC誌の1968年12月号の表紙に登場し、沼氏の解説記事と併せて我々を虜にしてしまいました。鳥山さんの重厚なHERSEと異なり、非常にスポーティーなイメージで、快走を楽しみたい私にとっては理想のモデルでした。これを目標に、東叡社でカンパトリプルのスポルティーフをつくったりしましたが、まさか当時、このHERSEを入手できることになるとは夢に思いませんでした。
 
うちに来たのは1990年だったと思いますが、NC誌のチ氏が「沼さんのHERSEいりませんか?」との話から始まりました。
聞けば、「もう乗らないので、誰かいい人に…」ということでした。以前から先代のHERSEが欲しいと、チ氏に話していたことからのご縁でしたが、まさか沼氏のがくるとは思いもよりませんでした。ただ、当時としたら相当な金額でしたので、嫁さんに相談したところ、「そんなに欲しければ、買ったらいいじゃない」とのことで、なんとか納車となったものです。
 
しかしながら、沼氏の保存状態が極めて悪く、倉庫の中で蒸し風呂状態だったことから、塗装の劣化、アルミの腐食を始め、ゴムものは全て逝ってました。それで、完全オーバーホールして、痛んだパーツは交換し、バーテープのニス塗りは名人のM氏に、仏製のシェラックニスで塗ってもらったりして、なんとか原型に近い形までこげつけました。
 
いろいろとエピソードはありますが、簡単にこれぐらいとさせていただきます。私のところに来てから、丁度20年になりますが、ほとんど乗っておらず、動態保存状態です。これを契機にすこしは乗ってやらないといけないと思っておりますので、また機会がありましたらお披露目したいと思っております

■Special Thanks: U野さん

黒バックの素晴らしい写真。部品類はタイヤ、ブレーキアーチ、ブレーキレバー、あとテールランプなどは変わっていますが、ほぼ当時の部品構成。'67年にすでに完全内蔵、フル直付、オール軽合部品、コッターレスクランクの採用などその先進性には本当に驚きました。ビーズオレンジの色ですが、塗替えてないそうです。退色して色がちょっと薄くなっています。本来の色は上の写真を参照して下さい。

斜め後ろから。このアングルも非常に好きです。ガードはDurex、リムはSuper Champion650B、ブレーキアーチはWeinmann Vainqueur 999。

オリジナルチェーンホイール。クランクはStronglight社の鍛造品、リングはTA社製のものというのは有名な話です。歯数は50×45×36。この3つ穴のデザインは秀逸だと思っています。

フロントキャリア付近。ブレーキアーチはWeinmann Vanqueur 999旧型。
いわゆるネジリと呼ばれるものです。Fキャリアは6mmのようです。合理的なマウント方法、完成されたデザインだと思います。チドリ、ステムはオリジナル。この当時でこのような部品をすでにデュラルミンで作っていました。

サドル付近。サドルはオーソドックスなIDEALE♯90軽合ベース。ピラーはオリジナルと思われます。
アウター受けはTOEIの物と比べるとやや短い?シートラグ、2本巻きステーの処理が見事です。

ペダル。ペダルはLyotard♯65。当時のフランスぺダルでは最高のものですね。クリップはCHRISTOPHE、ストラップはPATURAUD。

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2010.8.21

No60

Rディレイラーは当時の最新鋭 Huret Luxeです。'50〜'60年代に製作されたRene'HERSEマシンを見るとHERSE氏はHuretがお気に入りだったようでこのマシンもLuxe になっています。やはりCP仕上げで特にオールCPマシンにはピッタリ合いますね。