1964 CINELLI SUPER CORSA

東京オリンピックの頃の最もチネリらしいチネリ。まだCampagnoloのブレーキアーチが出る前のモデルです。色はシルバーメタリック。

■チネリについて
チーノチネリはイタリアの成功した自転車レーサーでした。1943年のミラノ-サンレモに優勝します。彼は第二次世界大戦の後フレームを作り始めました。チーノチネリとジーノバルタリやファウストコッピーとは選手時代から密接な関係があり、自転車を供給していました。しかしチーノチネリは理由は分かりませんが、プロチームには自転車を供給しない考えを貫いていました。
 チネリの製造年代を推定する時のポイントは、ラグに3つの穴があるかないかと言うこととボトムブラケット部の油ポートの有無です。ボトムブラケット部の油ポートは、1965年頃に無くなりました。ラグの3つの穴は、1968年頃に現れました。また、ス−パ−コルサとスペシャルコルサはなで型フォーククラウンによって特徴づけられます。モデルBは従来の平らなフォーククラウンを持っています。モデルCは「リビエラ」として知られています。
 チネリのシリアル番号は、製作順には付いていません。この理由は、チネリのフレームの製作が自社ではなく、その大半がミラノのフレーム工房に外注されていたためです。各工房に詳細なスペックを渡して工房毎にシリアル番号を付けていたためです。
 日本では東京オリンピック使われたピストのほとんどがチネリであったこと。日本チームのロードレーサーはチネリを参考に片倉シルクで製作されたこと。また、力道山がチネリに行って注文したこと。等々 チネリの車はいわば日本の近代的なレーサーの原点とも言える車です。
 
■この車について
この車は4年前にこのままの完成車で購入しました。TOEI社でレストアされています。ハンドルバーのバーテープですが購入時からシェラニックニス仕上げになっていました。本当はバーテープだけです。

■次にこの車の特徴です。
 ボトムブラケット部上部と下部に油ポートが付いており、ラグは穴がありませんので1965年以前の製作です。しかしながら、ラグに3つの穴が付いて下部だけに油ポートが付いている車もありますがこれはボトムブラケットが残っていたものを使ったためです。この時代のモデルの特徴である前後のカンパニョーロのエンドのガード取付ネジ部が取り外されております。更に、シートステーとチェーンステーのブリッジ部にマッドガードと取付用の穴が無いことから、当初よりマッドガードを取り付けない仕様となっていると思われます。部品ではチネリのバッジ付き鉄ステムが大変珍しいですね。ブレーキも当時はカンパニョーロは無くユニバーサル61でした。フレーム製作当時と同じ時代の部品が付いており当時のレーサーの雰囲気が良く出ています。

SPECIAL THANKS: つっちーさん

チェーンホイール。

クランク、リング共にCampagnolo Record。
歯数は51×46。この時代のレーサーはアウタ−とインナーの歯数差が少なくて3〜4T程度の車が多かったですね。
Campagnoloのチェーンホイールは'58年頃開発されました。このリングは当時の最小歯44T(PCD151mm)のもの。

FメカはCampagnolo Record,アウター受け付のものです。
私が駆け出しの頃はまだ多数お店に並んでいました。


ペダルは当然Campagnolo Record です。写真には写っていませんが環付の旧型です。

Rチェンジ。

Campagnolo Record。分かりにくいですが、鉄プーリーの物です。走るとジャーという音がします。
キャパシティもGran Sportよりも大きくて16〜18T程度はあると思われます。

この当時の車は例外なくガードステーアイがついていましたが、この車は加工してあるようです。エンドは削ってエッジを立ててあります。同じような加工をEVEREST RECORDで行っていましたよね。

チェーンはREGINA EXTRA SC。

リヤブレーキアーチ付近。

ブレーキアーチはUNIVERSAL Mod 61。
当時はセンタープル、サイドプルブレーキアーチが入り乱れててんでにバラバラな状態でした。どちらかというとサイドプルの方が少なかったように思います。

見てお分かりのようにガードが入る余裕があります。この頃のブレーキのほとんどのアーチ寸法は前が52mm、後が57mmでした。今時のレーサーは指1本も入りませんが、当時のレーサーはこのようにおおらかな作りでした。

クイックはブレーキアーチ本体ではなくアウター受けについています。

サドル。

BROOKS B17 Competition Campagnolo。
詳しくは知りませんが、BROOKSのサドルでCampagnoloの刻印があるサドルです。

この当時からだんだん本革からプラスティックに変わりつつありました。最初はUNICA♯55 あたりを採用していましたが、後に革張りUNICA♯65が採用されていました。

理由はやはりなんと言っても馴らすのが大変だったからでメカニシャンの苦労を少しでも減らすのと雨に濡れても平気なサドルの方が都合が良かったからです。

Campagnoloの刻印。

ちょっと分かりづらいですが、中央の楕円の中に刻印があります。刻印ですが、"CAMPAGNOLO MODEL"となっています。
このサドルですが、レール幅は通常のBROOKSよりも狭く、従ってこのCampagnolo ピラーも固定部分の金具が幅の狭いものになっています。


http://www1.ocn.ne.jp/~campa/newpage5.htm


BROOKSのプレートはどうやらついてないモデルのようです。
それにしても良いサドルですね。

ハンドルバー付近。

ハンドルバーはCINELLI Giro de ITALY♯64 380mm。ステムは同じくCINELLI  Steel  75mm バッジ付。

バーテープに特徴があり、ニス塗りは普通イタリアでは行いません。フランスのツ−リング車風?の仕上げになっています。

ブレーキレバーはUNIVERSAL。

ハブ。

ハブはCampagnolo Record LFQR 36H。
当時はなぜかラージフランジ使用車が多かったですね。私の最初のロードもラージフランジでした。スモールフランジハブはなぜか入手困難でした。

ハブのデザインや回転性能、クイックのデザインや品質など世界No1だと考えています。


スポークの張り方は当然の事ながらイタリアンですね。

リヤハブ。

リヤハブもCampagnolo Record LFQR 36H。
Campagnoloのロードエンドはステーアイをカット、手を入れてエッジを立てて仕上げてあり、なおかつメッキしてあります。

注目すべきはエンドとステー接合部仕上げが素晴らしいですよね。クイックレバーは直レバーの旧型です。

ハンガー裏。

当時の車は丁寧にグリス注入口が設けて有り、いちいち分解しなくてもグリスガンでグリスを注入出来るようになっていました。

この車はハンガーの裏と上部の2ケ所にこれがあります。
ハンガーブリッジには補強板がついています。


クランクアームが写っていますが、肉厚がお分かりになりますか?凄く厚くて力一杯踏んでもたわまないようになっています。

1694と番号刻印がありますが、これで1964年製と分かるそうです。

リム。イタリアのこの時代の車はNISIが多いですね。私の友人の同時代CINELLIはFIAMME(赤ラベル)でした。

タイヤ。当時のタイヤはさすがに入手困難でClement Paris Roubaixがついていました。

フレーム tube:  Columbus
lug:  Agratii End: Campagnolo
size: 520mm  top: 535mm
ストラップ BINDA EXTRA
タイヤ Clement Pris-Roubaix
リム NISI
ハンガー小物 Campagnolo Record スポーク DT  Stainless
ヘッド小物 Campagnolo Record Strada ハブ Campagnolo Record  LFQR  36H
Wレバー Campagnolo Record フリー REGINA EXTRA 14×16×18×20×22
Fメカ Campagnolo Record サドル BROOKS B17 Competition Campagnolo
Rメカ Campagnolo Record ピラー Campagnolo Record narrow model
クランク Campagnolo Record 170mm ハンドルバー CINELLI Giro de ITALY ♯64 380mm
チェーンリング Campagnolo Record 51×46 バーテープ Velox Cotton
チェーン REGINA EXTRA CS ステム CINELLI  Steel  75mm
ペダル Campagnolo Record ポンプ SILCA  Impero
クリップ REG  Special M ポンプアダプター Campagnolo

1964  CINELLI  SUPER CORSA 仕様表

■編集後記

'60年代イタリアの代表的ロードレーサーというとやはりCINELLI, LEGNANO, BIANCHIということになると思います。'70年代のそれはなんと言っても DE ROSA, COLNAGO, ROSSIN ですよね。今回は'60年代代表的ロ−ドレーサーの1つ、CINELLIをご紹介することが出来ました。それもほぼ当時のままの部品仕様です。今やめったに見られない、貴重な車だと思います。昔友人がほぼ同じ仕様年代のCINELLIを買って得意気に乗っていたのを思い出しました。私はと言うとSILKのR2ロード、部品は国産でした。友人のCINELLIは当時で約8万でした。でなんとオリジナルガード付でした。今思っても凄い車でしたね。今回の車はガードはないですが、ほぼ同じ仕様のしかもレストアされて状態は非常にGood Conditionです。昔の車は丁寧に作られていて非常に美しいです。今回、つっちーさんには全面的にご協力頂きました、この場をお借りまして厚くお礼申し上げます。最後まで見て頂いて有難うございました。

2009.1.23

No44

■CINELLI カタログ

私の所有しているCINELLIカタログ。

年代はレコードステムが載っている事から'70年代半ば頃だと思います。表紙は有名なダニエル・モレロンでしょうか?CINELLIは完成車メーカーですが、問屋的な面も持っていて部品のバー、ステム、有名なM71ペダル、UNICAサドル、シューズ、ローラー台なども扱っていました。

TOPページにこの車とほぼ同じ仕様のSUPER CORSAが載っています。